農作物病害虫データベース

センチュウ病(きのこ/きのこ共通)

センチュウ病

特徴と発生条件

●ヒラタケ自こぶ病
ヒラタケ及びウスヒラタケの白こぶ病は、センチュウが子実体のひだにこぶ状の奇形組織(虫えい)を大量に作るものである。津田によれば、1970年代に西日本にみられ、近年、東日本へ急速にその範囲を拡大し、1995年現在、新潟県、長野県が最東端である。相原によれば、センチュウはイオトンチュウム属に属す新種である。体長は1~ 2 mm、体幅が0.07~ 0.09mmで体を曲げていることが多い。白色で、体表面は鞘状でややでこぼこして見える。水中でくねるように遊泳するがあまり活発ではない。口針はない。こぶ状の奇形組織の中にはこぶ1つ当たり数頭のセンチュウや卵が確認される。長野県においては、1993年10月に木曽郡上松町の原木栽培ヒラタケで最初に発見されたが、その後、毎年原木栽培のヒラタケに発生がみられている。また、ビン栽培のウスヒラタケにも寄生が見られた。このセンチュウはナミトモナガキノコバエによる伝染が知られている。

●プナシメジ子実体の奇形病(仮称)
ブナシメジ子実体の奇形病を起こすセンチュウは、1993年2月に本県北信地方で初めて調査され記録された。主な症状は、子実体を水浸状にし、奇形や生育不良を起こすとともに、激しい場合は腐敗させる。このセンチュウは体長300~ 400μ m、体長20~ 30μ mの流線型をしており、顕微鏡で見ると透明で、体表面は滑らかで着色はない。水中で活発に遊泳する。日針はない。皆川によれば、ラブディティス属の新種であり、種名は検討中である。子実体発生時にビンロに掛ける保湿用のポリシートにより伝染する。栽培室の換気や通気が悪く、子実体の生育が抑制される場所でこの被害が多い。なお、センチュウ感染時期は子実体発生処理以降である。また、このセンチュウは菌食性ではないので菌糸や子実体は食害せず、センチュウ汚染ビンの菌床内からはグラム陰性細菌が多数検出されることから、この細菌がセンチユウとともに菌床内において何らかの障害を与え、きのこの正常な生育を妨げていると考えられる。

防除方法

●ヒラタケ自こぶ病
ヒラタケ栽培においては、原木にカンレイシャ等の網をかぶせることでキノコバエを防ぎ、センチュウの感染を防ぐ方法が提唱されている。しかし、効果的な防除方法は確立されていない。

●プナシメジ子実体の奇形病(仮称)
保湿用のポリシートを洗浄する。また、栽培室の換気と通気を改善する。被害が激しいときには栽培を中止して、清掃と殺虫及び殺菌のための消毒をしてから栽培をやり直す。

農業関係試験場について

長野県農業関係試験場は、県内6つの試験場を中心に農業・水産業の課題解決のための試験研究を行っています。

  • 農業試験場
  • 果樹試験場
  • 野菜花き試験場
  • 畜産試験場
  • 南信農業試験場
  • 水産試験場
  • 研究課題の募集
  • 視察研修の受け入れについて
  • 研究成果
  • スマート農業
Copyright © Nagano Prefecture. All rights reserved.