カミキリムシ類(果樹/ナシ・リンゴ)

主な加害種はゴマダラカミキリ、クワカミキリ、ウスバカミキリで、各々寄生の仕方に特徴がある。ゴマダラカミキリは平地に多く、樹勢の弱い樹には寄生しやすい。クワカミキリは山沿いに多い。ウスバカミキリは幹や太枝が腐食した部分に寄生する。
被害と診断
ゴマダラカミキリは地ぎわの部分を噛んで傷を付け産卵する。幼虫は根に向かって寄生し、地ぎわの食入孔から木くず状の糞を排出する。成虫の脱出口は円形で地ぎわにできる。普通樹では直ちに樹勢に影響するほどにはならないが、わい化栽培樹では影響が大きい。成虫は葉や新梢の表皮を食害するが、わい化栽培樹をより好んで食べる。 リンゴ以外にカンキツ類やナシ、イチジクの害虫でモモ、カキ、ブドウ等には寄生しない。また、シラカバ、ヤナギには好んで寄生するので、河川の周辺では被害が多い。
ウスバカミキリは腐らん病などで太い枝が枯死し、その部分が腐ったような所に寄生して、内側から木質部を食べる。虫糞も外に出さないので、外観からは寄生が分からない。寄生を受けた枝は弱くなり、折れやすくなるし樹勢も衰える。成虫の脱出口は楕円形で寄生部付近から脱出する。ナシにも寄生する。
クワカミキリは樹上部の枝に噛み傷を作り産卵する。幼虫は2、30cm間隔で虫糞の排出口を作りながら下部に向かって食害する。虫糞は一番下の排出口から出される。 リンゴ以外にビワ、イチジク、クワの害虫でもある。
成虫の大きさはゴマダラカミキリが35mm前後、ウスバカミキリは30~ 50mmである。クワカミキリは体長40~ 50mm、黄褐色の微毛に覆われ、鞘翅の基部には黒い点状の刻がある。
発生生態
ゴマダラカミキリは成虫になるまでに2年かかるのが大部分である。成虫は6月中旬頃から出現し、 7月上旬に最盛期になる。成虫は数日後には産卵を開始し、中には60日間に100卵以上を産卵するものもある。ふ化した幼虫は初め皮下の木質部を食害するが、成長するにしたがい木質部に食い込む。ウスバカミキリも成虫になるのに2年かかるのが標準である。成虫は7月上旬頃から出現し7月下旬が最盛期になる。産卵は木質部が腐って空洞状になったところにされ、一度に100卵位を産む。
クワカミキリも2年かかって成虫になり、成虫の出現は7月中旬から8月に出現する。産卵は樹の上部の2、 3年枝に噛み傷を作って1卵ずつされる。
防除方法
成虫の捕殺につとめる。ゴマダラカミキリでは地ぎわから50cmくらいまでの幹に薬剤を散布する。ウスバカミキリでは幹の空洞部分をふさぎ産卵を避けるとともに、腐らん病による枯死部分はペンキを塗って腐敗を防ぐ。