ジュウシホシクビナガハムシ(野菜/アスパラガス)

近年、グリーンアスパラガスの栽培が伸び、山間高冷地で栽培されるようになったので、アスパラガスの害虫として被害が発生し、注目されるようになった。野生のアスパラガス属の植物であるキジカクシに寄生したものが害虫化したと考えられている。
被害と診断
長野県内では山間の山沿いの畑に発生が多く、各地で被害が目立つようになった。
アスパラガスが春先萌芽を始めると、越冬成虫が逐次固場に移動してきて、寄生し食害を始める。寒い日には寄生は少ないが、暖かい日中は1本のアスパラガスを数多くの成虫が加害する。圃場に移動した成虫は、朝の気温の低い時は株もとの土壌のすき間に入っているが、陽がさして気温が上昇してくると茎の上部にあがって食害を始める。風のない暖かい日には成虫の加害が著しい。夕方になって気温が低くなると、下にくだって土塊の間や茎の切りあとの間隙に入ってしまう。
食害されると茎は曲がったり、上部の加害部がへこんで変色したりして、商品価値が低下する。次々に萌芽するアスパラガスが加害されるので、被害は大きい。
しばらくすると、交尾中の成虫がみられるようになり、産卵が始まる。上部の鱗片葉内に細長い卵を産みつける。収穫中は毎日収穫されるので産卵されても畑に残らない。
収穫打ち切り後、主茎が伸びてくると幼虫がみられるようになる。幼虫は3対の脚で器用に擬葉につかまり、むさぼるように食害する。発生が多いと擬葉がなくなり、表皮をかじられた茎だけになってしまう。翌年の収穫量に影響を与えることになる。成虫は体長7~ 8 mmで全体が赤橙色で、14個の黒点がある。幼虫は頭部が黒色で体全体が灰褐色をしている。 3対の脚で動きまわる。
本種の近縁種カタボシクビナガハムシが、数は少ないが混発している。
発生生態
年1回の発生で、成虫で越冬する。畑周辺の落葉下や、樹木の株元の土中、雑草の株元などで越冬し、 4月上旬~中旬ごろから畑に移動して加害し産卵も始まる。収穫打ち切り後に幼虫がみられるようになる。老熟すると土中に入ってまゆをつくり蛹化する。 6月ごろから新成虫が出現して、越冬に入るまで加害を続ける。
防除方法
萌芽が始まると越冬成虫による加害があるので、発生畑では萌芽初期から防除が必要である。しかし越冬場所からの移動がある程度終了したころが効果的である。成虫が活動している暖かい日中に薬剤を散布すると効果が高い。
収穫打ち切り後の加害を防除すると、越冬密度を低くすることができる。