農作物病害虫データベース

ミナミキイロアザミウマ(野菜/キュウリ・ナス・ピーマン)

ミナミキイロアザミウマ

本種は我が国土着の害虫ではなく、海外から侵入した害虫である。我が国への侵入時期の特定はされていないが、1978年に宮崎県のピーマンと熊本県のナスで被害の発生が確認された。長野県内では、1987年に県南部の露地栽培のナスで初めて発生が確認されている。その後、発生はほとんど認められなかったが、1991年に県南部の施設栽培キュウリで、1994年に県北部のアスパラガスで発生が認められた。

被害と診断

キュウリでは、初期の被害は葉脈沿いにかすり状の小斑点が生じ、発生が多くなるとは全体に小白斑を生ずる。若い葉は縮れてて伸長が止まる。さらに被害が進むと葉縁から褐変してやがて枯死する。幼果が寄生を受けると、果面がでこぼこになりいぼが退化して曲がり果となって肥大が抑制される。成果期に多量の寄生を受けると果皮がさめ肌状になる。
ナスでは、初期の被害は葉裏の葉脈沿いに白っぱい銀白色の小斑ができる。この小斑はその後灰褐色になる。葉表では、葉脈に沿って白く抜ける細長い斑点ができる。果実では、がくの内側にいる虫の加害により果皮に傷がつく。果皮の傷はがくの下から果実の尻部に向かって生じ、傷の部分のがくをめくると裏側に褐色の食害痕がみられ、幼虫がはい回っていることが多い。
ピーマンでは、初期は新葉の展開が不良になり、草丈の伸長が緩慢になる。多発すると草丈の伸長は著しく阻害され、葉に小斑点が広がり褐変する。また、新葉は縮れて変形し、果実ではがくが反り返り、果実のへこんだ部分が茶褐色になったり褐色の傷ができ、果実全体が変形して肥大しなくなる。

発生生態

卵は葉、花、茎などの植物組織内に産み込まれる。孵化幼虫は植物を加害しながら発育し、地表におりて蛹化する。多くのものは土中にもぐり蛹化するが、必ずしも土を必要とするわけでなく、マルチ上のゴミの中や敷きわらの中でも蛹化する。その後、羽化すると再び植物に戻り加害を再開する。本種は交尾しなくても産卵が可能で、未交尾雌の未受精卵からは常に雄が生じ、既交尾雌の受精卵からは約80%が雌として生ずる。卵から成虫までの1世代を完了するのに要する期間は、25℃ 条件下で約13日と短い。キュウリ葉を餌とした場合の雌成虫の寿命は、20℃ 条件下で約22日、25℃ 条件下で約15日で、 1雌当たりの産卵数は、25℃ 条件下で最も多く約60卵である。

防除方法

本種は県内の露地では温度上、越冬が不可能とされている。しかし、周年栽培の施設では注意が必要である。特効薬とされる薬剤があるが、多発状態になってからでは防除効果が上がらないため、発生初期から防除を行う。耕種的防除として、寒冷紗による被覆、シルバーストライプマルチフイルムの使用、青色誘引引粘着リボンの設置、圃場周辺の雑草の除去などを併用すると効果が高い。また、苗などによる人為的な持ち込みにも十分注意する。

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