農作物病害虫データベース

黒斑細菌病(野菜/アブラナ科野菜全般)

黒斑細菌病

本病は、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、ダイコン、チンゲンサイ、カリフラワーなどアブラナ科野菜全般で発生が認められ、育苗期の苗から収穫期の結球葉および花蕾まで生育ステージ全般で発生する。また、本病原菌はエンバクに対しても病原性をもつ。

病徴と診断

本病は育苗期から収穫期に至るアブラナ科野菜の生育ステージ全般で発生が認められる。アブラナ科野菜の葉に、初め小さな水浸状の斑点ができ、拡大、融合して不整形の壊死斑点となる。病斑はややへこみ、淡褐色から黒褐色を呈し、周辺が黒色となる。病気が進行すると葉に穴が開き、葉身部が腐敗し、葉脈だけを残す。さらに進行すると葉の大部分が腐敗し、枯死する。本病により定植後間もない時期に外葉が腐敗・枯死してしまうと、生育が進んでも不結球となる。また、ブロッコリーの花蕾では、花梗部が黒褐色水浸状に腐敗する。ダイコンでは根部に黒芯症状が発生する場合もある。本病の診断法として、スライド凝集反応法による診断技術がある。

発病条件

本病は病原細菌によって引き起こされ、発病好適温度は25~ 30℃ である。育苗施設では5月から、本ぽでは6月頃から11月頃まで発生が認められる。本病の発病サイクルとして、育苗期に発病した苗が伝染源となり、本ぽに定植することで、黒斑細菌病が発生する。その後、降雨により発病株から周囲の株に二次伝染し、ほ場全体に発生が拡大する。栽培終了後に本病の発病葉をほ場にすきこむと、病原菌は残渣内で生存および越冬し、ほ場内に病原菌が残ったまま翌作が始まる。さらに、本病原菌は一部の緑肥作物にも感染するため、アブラナ科野菜の栽培終了後に作付ける緑肥作物内でも生存し、病原菌がほ場に定着し、発病のサイクルを繰り返すと考えられる。

防除方法

1. 育苗トレイを消毒する。
2. スライド凝集反応法を利用した発病苗および発病株の早期発見・除去。
3. 黒斑細菌病に対して感受性が低く、病気にかかりにくい品種の作付け。
4. アブラナ科野菜の生育ステージに応じた薬剤防除(生育初期の重点防除時期は効果の高い薬剤を利用する)
5. 緑肥作物を導入する場合は、本病原菌が感染しないものを選定する。

防除マニュアル

防除マニュアルはこちらからご覧ください。

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