農作物病害虫データベース

イネミズゾウムシ(普通作物/イネ)

イネミズゾウムシ

イネミズゾウムシは昭和51年に愛知県南部で初めて発見されたアメリカ合衆国原産の侵入害虫である。長野県では昭和55年に県南部で侵入が確認され、その後急速に分布を拡げた。昭和61年には県下全域で発生が認められ、発生面積は水稲作付耐面積の90%を超えたがその後は漸減傾向にある。

被害と診断

成虫がイネの葉を、幼虫が根を加害する。成虫はイネの葉を葉脈に沿ってかすり状に摂食し、幅約1mm、長さ1~数cmの細長い食痕を残す。イネドロオイムシ幼虫の食痕に類似するが、本種の食痕の方が幅が一定で形が揃っている。食害は葉の先端や葉縁に多い。越冬地に近い水田ほど多発し、同一水田内では畦畔近くの株で被害が多い。普通、成虫による食害は実害に至らない。若齢幼虫は根に潜入し、以降は根に付着して根を摂食して噛み切る。加害部は灰色~暗褐色に変色する。多発生すると根が十分に確保できず、生育が阻害され、分げつが進まずに減収する。 1株に数十頭寄生すると新根が食べ尽くされ、株は手で容易に抜ける。こうした被害は坪状に発生する。成虫の体長は約3 mmで、日吻は長く下方に曲がっている。体色は灰褐色~茶色で、背面中央にほぼ菱形の黒斑がある。成虫の動きは鈍く、近づくと擬死して落下する。幼虫はC字型に湾曲し、淡白色で老熟すると1cm近くなる。足はなく背面にある6対の突起でイネ根部に付着し、ここから呼吸する。

発生生態

年1回発生で、成虫で越冬する。越冬場所は雑木林や笹薮、水田畦畔などの落葉や枯草の下が多い。耐寒性は高く、凍結土や積雪下でも十分越冬できる。 4月中旬頃から越冬地を脱出し、付近のイネ科雑草などを摂食する。田植が済むとすみやかに水田内へ歩行侵入し、苗を食害する。 6月以降は飛翔侵入個体が増え、水田内では6月上旬頃が越冬後成虫の発生盛期となる。本種は単為発生し、日本では現在まで雄は発見されていない。産卵は水田侵入直後から開始し、水面下のイネ葉鞘組織内に産み込まれる。小化幼虫はすぐ、あるいは1齢を経てから葉鞘を脱出し、土中へ潜って根部に付着する。幼虫は根圏を移動しながら根を摂食し、25~ 40日で4齢を経て老熟する。老熟幼虫は根に付着した長径約5 mmの長球型の土マユを作り、その中で蛹になる。 7~14日で新成虫が羽化し、 7月中旬ごろから地上部に脱出する。新成虫はイネの株元の葉やイネ科雑草等をわずかに摂食した後、7月下旬~ 9月上旬に越冬地へ飛翔移動する。

防除方法

1.田植を6月中旬以降に遅らせると成虫の侵入量が減り、被害を軽減できる。生育の進んだ苗ほど被害が少ない。
2.成虫は水がないと産卵量が減るため、浅水管理する。また、若齢期に中干しして土壌を硬くすると幼虫の死亡率が高まる。
3.イネミズゾウムシの常発地や多発地では苗箱施薬を実施する。
4.株当たりの成虫数が0.5頭以上になったら防除が必要。本田防除の適期は6月上旬で、粒剤の他、パック剤や油剤など簡易処理剤が便利である。

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