農作物病害虫データベース

イネドロオイムシ(普通作物/イネ)

イネドロオイムシ

イネドロオイムシは本州中部以北の寒令地で問題となる害虫で、長野県でも山間地の風通しの悪い水田や山影、霧の出やすい地域に常発する。近年、発生時期が遅れる傾向があり、 7月以降に多発する地域が増えている。
幼虫の肛門は上を向いており、糞が自然に背中に溜まる。湿度保持や天敵からの隠れ蓑に役だっている。この糞が泥に見えるためイネドロオイムシと呼ばれる。和名はイネクビホソハムシ。

被害と診断

成虫と幼虫がイネの葉身を加害する。成虫は葉脈に沿って縦に細長く数cm~ 10数cm、線を書いた様に摂食し、被害葉は後に短冊状に裂ける。ただし、成虫による食害は実害に至らない。幼虫は葉の表側から葉脈の間の葉肉を、葉裏の表皮を残して不規則にかじる。このため、寄生葉には多数の縦長でかすり状の白斑ができる。この食痕はイネミズゾウムシ成虫によるかすり状の縦長食痕と類似する。しかし、本種の幼虫による食痕はイネミズゾウムシに比べ幅がやや広く、やや不定形をしている点などで識別できる。幼虫による食害が著しい場合には被害葉は白く枯れ上がり、初期生育が阻害される。
成虫は体長約5 mmのホタルに似た小型の甲虫で、体色は黒く、光の角度によって背中が濃い青藍色に輝く。首の部分は暗褐色で、ややくびれる。近づくと飛んで逃げる。卵は長径約0.8mmの紡錘形で、数卵ずつ並べて葉表に産下される。産卵直後は黄~橙色で、後に黒化する。幼虫は背中に糞を背負っており、近似種もいないため容易に識別できる。生育しきると体長5 mm程度になり、糞を脱ぎ捨てイネの葉上ないしは葉鞘部に長径約5 mmの自色半球形のマユを作り、その中で蛹になる。

発生生態

年1回発生。成虫でマコモや竹、ススキなどの株元に潜って越冬する。越冬後成虫は5月末~6月上旬から水田に飛来し7月までだらだらと発生する。成虫はイネの葉を食害しながら6月上中旬から産卵を始める。湿度が低いと卵のふ化率が著しく低下するため、入梅以降にふ化が本格化する。幼虫の発生盛期は標高が高くなるほど遅れ、標高400m台では6月4半旬、500~ 600m台では6月5半旬、700~ 800m台では6月6半旬となる。幼虫も乾燥に弱く、しばらく晴天が続くと死亡したり生育が遅れたりする。このため、発生量や時期は天候、降水量や湿度により変動しやすい。標高の高い地帯では7月に入ってからも幼虫が多発し、梅雨明けまで加害が続くことがある。 6月下旬からマユが見られ、 7月中下旬を中心に新成虫が現れる。新成虫はしばらくイネ葉を摂食したのち、 8月には越冬地へ飛び去り、越冬に入る。

防除方法

1.一般に常発地以外では実害は発生しない。
2.苗箱施薬で予防的に対処できるが残効期間は4週間程度の剤が多く、多発地では6月末以降に本田散布を追加する。
3.粉剤や乳剤の散布適期は幼虫発生初期で、粒剤や油剤はそれよりやや早い。
4.カーバメート剤の効果が低い地域では他系統の剤を使用する。

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