農作物病害虫データベース

グラジオラスアザミウマ(花/グラジオラス)

グラジオラスアザミウマ

本種は、日本国内では未発生種であったが、1986年に茨城、静岡、奈良の各県でグラジオラスに発生が初めて確認された。県内では、翌年に戸隠でグラジオラスに著しいスリップスの被害が認められ、同定した結果本種による加害があることが確認された。
分布はヨーロッパ、南北アメリカ、オーストラリア,ハワイ、アフリカ南部、 トルコなどで全世界に広く分布する。原産地はグラジオラスの分布からアフリカ南部と推定され、グラジオラスの球根と共に運ばれて全世界に分布を広げたと考えられる。

被害と診断

グラジオラスの場合、加害された茎葉は淡黄色や白色のかすり状の条斑紋を生じ、加害がはなはだしい場合には伸長の停止や枯死に至る。白色の斑紋はハダニによる被害と酷似する場合があるが、スリップス類の被害の場合、被害部位に排泄物による汚点が黒い点としてみられるのに対して、ハダニの場合はその汚染がみられないので区別できる。

発生生態

雌成虫は体長15~ 1.8mmで暗褐色を呈する。翅は褐色で、基部の4分の1程度が淡色のため、背面に淡色の帯があるようにみえる。発育温度は10~ 32℃ といわれ、冬期の土壌温度が0℃ 以下になる地域では野外では越冬できない。これらの地域では、球茎に寄生して暖かい貯蔵環境下で越冬する。卵から羽化までの発育日数は、30℃ で10.3日、15℃ で43.1日である。
成虫、幼虫とも球根、葉、花の各部で食害する。蛹化は土中で行うが、葉の内側や花の内部でも蛹が発見される。成虫、幼虫は植物体の若い部分に群生することが多く、花穂、若葉、成葉の順に寄生が少なくなる。成虫の活動は他の種のスリップス類に比べて不活発で、歩行・跳躍することが多く、飛翔はあまり観察されない。また、曇天、少雨、薄暮時には葉裏を歩行する成虫が観察されるが、陽光の明るい日にはそれが少ない。性比は雌が高く、雄の4倍である。両性生殖と単為生殖の2種類の繁殖様式をもち、単為生殖で繁殖した場合の次世代は雄になる。
寄主植物については、グラジオラス、キク、フリージア、アイリス、ヒオウギ、アマリリス、カンナ、ユリ、ニンニク、バラ、グリア、カーネーションなどがあげられる。

防除方法

購入した球根を使用する際に、腐敗球や褐色斑のあるものは避ける。本種は葉の内側や葉間に好んで寄生することから、薬液が寄生部位に到達しにくいので、展着剤の加用や、浸透移行性のある薬剤の使用などを利用し、薬剤がよく到達するようにする。また、未開花の花穂に侵入すると薬剤による防除は困難であるので花穂が形成される前までに防除を徹底する。

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