農作物病害虫データベース

培地汚染症(きのこ/菌床シイタケ)

培地汚染症

病徴と診断

●アカパンカビ属
培養初期に異常に速くかつ薄く菌糸が伸長し、後から伸びてきたシイタケ菌糸との境に黒褐色の明瞭な拮抗線が形成され、シイタケ菌糸の伸びが止まる。汚染部は初め薄い菌糸の状態から徐々に黄褐色に変わり、さらには橙色の分生胞子を大量に形成するようになる。

●ペニシリウム属
収穫中の培地において、切り残しの柄や取り忘れの子実体、あるいは俗に菌蕾という培地本体から突出し遊離した部分などが過乾状態になると、アオカビが発生する。また、培養中にも生じるが、初期の汚染ではシイタケ菌にやがて被圧されて識別できなくなる場合が多い。後期の汚染では培地表面に斑紋状のコロニーができる。

●トリコデルマ属
収穫中の汚染ではアオカビとは逆に培地や発生環境が過湿になると、子実体の収穫跡や生長不良子実体などを侵し、緑色胞子を形成して汚染箇所を腐敗させる。シイタケ胞子が培地表面で発芽すると、これにも汚染しやすい。また、培養中に汚染した場合には薄い菌糸の状態から分生胞子を形成して緑色に変わるが、シイタケ菌は拮抗線を形成して抵抗する場合もある。

発病条件

●アカパンカビ属
栽培には袋を用いた大型の培地が使われるため、殺菌不良になりやすいこと。また、袋の裂け目やピンホール、栓の空隙等から放冷~接種時や培養初期に分生胞子が侵入しやすい。一旦、施設が汚染されると後々影響が残る。このカビは他の菌床栽培きのこには少なく、菌床シイタケに特異的に出現する。

●ペニシリウム属
このカビは空中に浮遊しており腐生性害菌であるが、被害が大きいと培地は軟弱化し子実体は発生しない。

●トリコデルマ属
このカビは寄生性害菌であるため、収穫中には汚染箇所から培地内部にまで侵入してシイタケ菌を侵し、培地は軟弱化して崩れやすくなる。作業者の手や散水液、浸水液からの伝播が主と考えられる。

防除方法

●アカパンカビ属
殺菌の徹底、放冷室と接種室の無菌化、接種作業の清潔等が必要である。このカビは腐生性害菌でありシイタケ菌を死滅させるほどの力はないが、施設汚染が著しくなるため汚染培地は子実体発生には用いず、早めに抜き出して殺菌あるいは焼却する方がよい。

●ペニシリウム属
培養工程での対策としては施設や殺菌技術の精度を高める。収穫中の対策では、切り残しの柄や生長不良子実体を培地ぎりぎりに切りつめる。汚染培地は水洗いして胞子を除去する。なお、収穫中には薬剤の使用はできない。

●トリコデルマ属
培養工程での対策についてはアカパンカビ属の項と同様である。収穫中の対策では前項の管理の他、汚染培地を浸水時に混入させないことや散水過多、通風不良を避ける。

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