農作物病害虫データベース

キノコバエ病(きのこ/きのこ共通)

キノコバエ病

特徴と発生条件

●トビモンナミキノコバエ
成虫の体長は5~ 7 mm、透明で2つの紋がある翅とトゲの多い長い脚、長い触角を持ち、蚊に類似した体形のハエである。幼虫は黄色で頭部は黒色、12の体節からなり、発達した口吻があって、きのこの組織を食害する。生育中のエノキタケに寄生し、子実体上に繭を作り、さなぎとなり成虫になる。

●クロノバネネキノコバエ科
エノキタケやヒラタケを始め、シイタケなどの菌床栽培で発生する小型のハエである。成虫は体長が3~ 5 mmで、全体が黒色を呈し、2枚の翅は透明ないし暗色透明である。卵は菌床に産み付けられ、数日でふ化する。幼虫は菌床内で菌糸を食害する。幼虫は菌床表面近くに繭を作り、さなぎになり成虫となる。 1世代の期間(世代時間)は18日程度である。

●タマバエ科
体長が1~ 2 mmの極めて小型のハエで、大部分は植物に虫えい(虫こぶ)を作るグループである。きのこの菌糸及び子実体を食害するものの中には、幼虫が幼虫を産んで繁殖する幼生生殖をする種類がある。外国のマッシュルーム栽培で良く知られたハエであるが、長野県内のビン栽培のナメコとブナシメジで発生が確認された。タマバエの幼生生殖の世代時間は25℃の実験室では4~ 5日であり、27℃ で母幼虫の個別飼育を開始すると21日後には幼虫数が2,000頭以上になる。飼育実験では、変態して成虫が発生した事例がないため、成虫から成虫までの世代時間はわかっていない。この仲間による加害状況は激しく、九州のヒラタケ栽培では、培地が幼虫の色によってオレンジ色に染まった例がある。長野県内では大きな被害は発生していないが注意が必要である。

防除方法

●トビモンナミキノコバエ
きのこ栽培に影響しない場所へ光線等により誘引し殺虫したり、外部からの侵入を防止するために出入口に忌避用の殺虫剤を置くか網を張る。栽培室内での薬剤使用は子実体の生育に悪影響を及ぼすので避ける。また、寄生を受けたビンの抜き取りを徹底する。

●クロノバネネキノコバエ科
前種と同様に誘引し殺虫するとともに、外部からの侵入を阻止する。本種は特に、培養室でビン内に侵入し、幾世代かを過ごすので、培養室での早期発見につとめ、被害発生ビンの抜き取りを徹底する。

●タマバエ科
伝染経路が全く解明されておらず、寄生ビンの抜き取り以外は有効な方法は知られていない。

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