トビモンナミキノコバエ(きのこ/エノキタケ)
病徴と診断
成虫は体長5mm程度で、やや不明瞭な斑紋が2つある透明な羽とトゲのある長い足、長い触角を持つ。脚は黄色であり、足先は褐色である。幼虫の体長は7~9mm、12節の体節から成り、側面に8つの気門がある。頭部は黒色で発達した口吻があり、きのこ組織をかみくだき、穴をあける。成虫はエノキタケの芽出し期に産卵し、15℃前後では羽化するが、5℃では生育が遅れるか、羽化しない。長野県では1980年代後半からエノキタケで被害が報告されている。近年、大分県で被害が報告されているイシハラナミキノコバエと形態が酷似しており、同種もしくは非常に近い種類と推測される。
発病条件
成虫が芽出し室(期)に室内に侵入し、産卵することで、子実体への食害が生じる。しかし、エノキタケは芽出し完了後、5℃前後まで室温を下げるため、数mmの幼虫か蛹の状態で発見されることが多い。
防除方法
エノキタケで防除対策を重点的に行うのは芽出し室(期)である。特に冬季に芽出し室・生育室の扉を開けての換気、作業中に扉を開けたままにすることは避ける。
・侵入防止対策
吸排気口、換気扇、排水口への侵入防止ネットの設置や不要な場合は塞ぐ
隙間をコーキング剤などで塞ぐ
・施設周辺の整備(生息場所を作らない)
施設周辺にきのこクズや廃菌床などを放置しない
草刈り、外に不要な物は置かない
・侵入後の捕虫
捕虫機や粘着シートを芽出し室(期)に設置する
以上の対策をキノコバエが発生する時期(春と秋)に必ず実施し、定期的に施設周辺の点検を行う。生育室内に設置した捕虫機も定期的に動作確認を行い、粘着シートはキノコバエが野外で発生している時期は最低、1か月に1回は交換して侵入の有無を確認する。
・捕獲消長の確認
施設周辺の捕獲消長を把握したい場合は、生育室の吸排気口、施設の換気扇、きのこクズ置き場などに粘着シートを設置し、定期的に捕獲調査を行う。