農作物病害虫データベース

ヤマタナミキノコバエ(きのこ/ブナシメジ)

ヤマタナミキノコバエ

病徴と診断

平成19年に長野県内のブナシメジ生産施設で、子実体を食害するキノコバエ科のハエの1種として発見された。トビモンナミキノコバエと形態が酷似するが、やや大型で羽の斑紋が明瞭な場合が多い。ブナシメジ生育室(15℃、90%以上)でブナシメジ菌床面に産卵させ飼育すると、産卵からふ化は2~3日、幼虫の期間が10日前後で終齢幼虫は1cm程度まで成長する。蛹化から羽化までの期間は9日前後であり、産卵から22日ほどで羽化する。成虫は砂糖水を餌とした場合、ブナシメジ生育室(15℃、90%以上)の環境下で15~23日生存した。低温で飼育すると生存日数は伸び、5℃で飼育した個体は平均57日(最長78日)生存した。低温に強く、成虫のままで越冬することも可能であることが示唆される。

発病条件

人工飼育では、産卵は菌かき後の菌床面から子実体のヒダや柄の隙間などで観察されたが、現地での被害事例は収穫期から包装後に幼虫が子実体外へ這い出す事例が多く、菌膜形成~受光期(原基形成)までに産卵されることが多いと推測される。

防除方法

以下の対策を、キノコバエが発生する時期(春と秋)に必ず実施し、定期的に施設周辺の点検を行う。生育室内に設置した捕虫機も定期的に動作確認を行い、粘着シートはキノコバエが野外で発生している時期は、最低1か月に1回は交換して侵入の有無を確認する。

・侵入防止対策
吸排気口、換気扇、排水口への侵入防止ネットの設置や不要な場合は塞ぐ
隙間をコーキング剤などで塞ぐ

・施設周辺の整備(生息場所を作らない)
施設周辺にきのこクズや廃菌床などを放置しない
草刈り、外に不要な物は置かない

・侵入後の捕虫
捕虫機や粘着シートを生育室に設置する

・捕獲消長の確認
施設周辺の捕獲消長を把握したい場合は、生育室の吸排気口、施設の換気扇、きのこクズ置き場などに粘着シートを設置し、定期的に捕獲調査を行う。

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