信州黄金シャモ開発ストーリー
「歯ごたえ・おいしさ・風味」の3拍子がそろった「信州黄金シャモ」。平成13年から約4年にかけて畜産試験場で開発された新品種です。誕生までには、どのようなストーリーがあったのでしょうか。畜産試験場養豚養鶏部の原雄一担当研究者(当時)にお話を伺いしました。
目指したのは、有色系の鶏、歯ごたえのある肉
信州黄金シャモの前に、畜産試験場では「しなの鶏」という地鶏を開発して、平成9年度から普及を行っていました。しなの鶏はブロイラー(白色プリマスロック)とシャモを掛け合わせたもので、大型で肉質が良いことが特徴だったのですが、その次の世代の地鶏として取り組み始めたのが信州黄金シャモです。その際、飼養農家や流通関係者からの要望の一つに、赤系統で有色、ということがありました。
ブロイラーや卵を生む鶏は白色のイメージがありますよね。でも、いわゆる日本三大地鶏「名古屋コーチン」「比内地鶏」「薩摩地鶏」は、いずれも有色系で、ちょっと赤っぽかったり茶色っぽかったりするんです。なので、ブロイラーともしなの鶏ともタイプが違うもので、有色系を目指すことにしました。
また、現在流通しているブロイラーは50日前後飼育して、3キロほどの大きさです。サイズはそのくらいで、肉質で差を出したいと考え、日数をかけて育てることにしました。120日以上かけるというのは、地鶏JAS規格の1.5倍、ブロイラーの約3倍です。ブロイラーが子どもの筋肉だとすると、信州黄金シャモは成人に近い。時間をかけることで、歯ごたえがある締まった肉になります。
約4年の歳月をかけて生まれた「信州黄金シャモ」
開発は、さまざまな交配で試行錯誤をしていきます。120日=約4ヶ月、育てるのに時間がかかるわけですから、計算上では年に3回・・・と言っても実際にはそこまではできません。季節によってエサの量なども変わるので、同じ交配で時期を変えて育てる必要もあります。そうして飼養したものは、大きさ、肉質、肉量などで比較します。
それから、味については外部の専門機関に依頼して、官能評価を行いました。そうして、父鶏=シャモ、母鶏=名古屋種の掛け合わせに4年かかってたどり着いたんです。
養鶏は病気との闘いなので、病気の予防や衛生対策には気を遣います。あとは、肉質を調べるとなると自分でさばかないといけない。生き物ということを考えると、大変なことはたくさんあります。
先日、畜産試験場の一般公開を行いました。そこで「信州黄金シャモ振興協議会」の方が焼き鳥を焼いてくれたんです。1本200円と安くはない値段なんですが、お昼前に800本が完売しました。ありきたりかもしれませんが、皆さんに喜んで食べてもらえる、おいしいって言ってもらることがやっぱり一番嬉しいですね。