新品種開発ストーリー

シナノスイート開発ストーリー

平成8年に品種登録された「シナノスイート」。県内の栽培面積は「ふじ」「つがる」に次いで第3位、全国でも第5位で、平成に入って開発された品種の中では最も多く栽培されています。人気の高いシナノスイートはどのようにして生まれたのでしょうか?果樹試験場育種部の泉克明担当研究者(当時)にお話を伺いました。


「甘いリンゴがあってもいい」若者の一言がきっかけに

長野県はリンゴの主産県の中では一番南に位置しています。これは、他県より早い時期に出荷できるというメリットもありますが、成熟期の気温が高いため色が着きにくいというデメリットもあります。県でリンゴの品種育成が始まったのは昭和40年代ですが、当初から色着きが良くおいしい品種を作ろうという目標がありました。それともう一つ、収穫時期が9月ごろの「つがる」と11月ごろの「ふじ」という人気の2品種の間、10月ごろに収穫できる品種を作ることも、大きな課題でした。

そこで、この2品種を両親として誕生したのがシナノスイートです。シナノスイートは酸味が少なく甘味が強い品種ですが、育成中、リンゴを食べ慣れた人からは「酸味がなくて甘いだけ」との意見もあり、試験場内でも評価が分かれていました。当時、リンゴは甘味と酸味のバランスが取れた「甘酸適和」が良いとされていたからです。そんな時、一緒に調査をしていた学生が「こういう甘いリンゴがあってもいいと思う」とつぶやいたのです。そこから、これでいってみようという流れができました。もしその一言がなければ、世に出てなかったかもしれないですね。


時代にはまったシナノスイート

リンゴの品種育成には、大変時間がかかります。特に実がなり始めるまでに6~7年もかかるのですが、この間はただ見守るしかないのです。シナノスイートの場合は、昭和53年に交配して得た種を、翌年まきました。その後、樹を育て昭和59年にようやく実がなって、そこから、おいしくて色着きの良い果実の選抜が始まりました。かなり助走期間が長いですよね(苦笑)。それでも、交配から品種登録まで19年ですから、まだ早い方です。品種によっては25年、30年かかっているものもあります。途中で担当者も代わりますし、開発がスタートした時と世に出る時では時代も変わりますよね。シナノスイートの場合は、酸味が少なく甘味が強いものが好まれる今の消費者ニーズにうまくマッチした、本当に、ちょうど時代にはまったという感じです。

食味については、評価が高かったのですが、着色という点では若干、苦労しました。標高が低い産地では着色が劣ることがあり、「味はいいけど作るのが難しい」と言われた時期もありましたが、栽培方法や管理方法を研究して、技術開発も進み、標高が低いところでもある程度着色するようになってきました。その成果が、両親に次ぐ県内第3位の栽培面積になっているのだと思います。

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長野県農業関係試験場は、県内6つの試験場を中心に農業・水産業の課題解決のための試験研究を行っています。

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